トーストと私
「トーストを焼くのは真剣勝負だ」
料理家の細川亜衣さんの言葉。
思い出さない日の方が少ない程、心に刺さっている至言だ。
細川さんの『朝食の本』に出逢い、これまでトーストと縁遠かった自分も興味を持つようになった。
熱々のパンを蒸籠で蒸して、ガスオーブンでカリッと焼き上げる。ほうほう。
もっとも尊敬する料理家の1人が、ここまで情熱的に愛を綴るトースト。きっと果てしなく素敵な世界なんだろうなと思った。
実はこの本を買った時、辛く苦しく無理なダイエットをしていた時期だったので、食パンを買うのに抵抗があって。
だからまずは油が入っていないパン代表・ベーグルを蒸し、トースターで焼いてみたんですよね。それがビックリするほど美味しくて。
こんなしっとりカリッと仕上がるのか…と感激したのをよく覚えてる。
で、なんやかんやありまして、ダイエット暗黒期(笑)を乗り越え、とあるパン屋に出逢う。
今ではそこに毎週通って1週間分調達してくるほどに入れ込んでるんですが、そこのパンは油不使用なんですね。
脂質制限してるから、主食で脂質摂る事に今以上に抵抗が強かったので、そこの食パンとの出逢いにはなんだかご縁を感じました。
そのお店についてはいずれまた書くかも…書かないかも(笑)機会があれば。
こんな感じで。
↑の画像群は最新から昔に遡るような時系列
来る日も来る日も蒸して、カンッカンに熱したトースターでガリッと焼き上げている。
でっかいのよ。だから18cm蒸籠にギリギリ入ってない(笑)
最初は遠慮がちに焼いてたけど、段々とコツが分かってきて、今はガリっとよく焼き。
多少耳が焦げても気にしない。全然美味しい。
もっと丁寧にやるならアルミホイル充てるべきかなあと思いつつ、しかし満点に美味しいからその課題は先延ばししまくってる。
この耳のクリスピーさといったら!素晴らしい快音。
日々表情が違うから、写真を撮るのも楽しい。
とはいえ「耳を火傷しそうな程」熱くし、結露させない為に木の皿に置き、その上で30秒以内で撮るから、朝は居合切りの様な気待ちです。
それを超過したらもうスマホを投げ出しかぶりつく。撮れる時と撮れない時が半々くらい(笑)
本来写真なんか撮ってる場合じゃないんだけど、それでも撮りたい欲深さとの折衷案がこれ。
さっくり、ふんわりじゃないんですよここの食パンは。ずっしりしっとりもっちり。
割れば、安心するような素朴な全粒粉の香りが、湯気がたちのぼる。これを朝に深呼吸しながら身体に摂り込む事が、かけがえのない程に大切な時間になっている。
くちどけが良く、するんと身体に馴染んでゆく味なんですよね。
「ああ、これに出逢いたかったんだ」ってつい思っちゃうような、しっくりさ。
心身のエネルギーをチャージ出来る、まさに糧。これが買えなくなったらどうしよう…なんて不安に駆られつつ、それでもこうしてご縁がある今を大切に感謝しようと思いつつ、日々いただいている。
細川さんへの憧れがあるから、たまーにご褒美のように発酵有塩カルピスバターを少しだけのせる。
いつか、かの人のように大きな薄切りバターをふんだんにのせられる日が来るのかもしれないなあ。
ボディメイク中の今はほんの少しだけ楽しむ。
冷凍した冷たいバターが歯にあたり、次にバリッとこおばしく焼けた熱いパンの表皮を噛む。そのコントラストや、噛み締めていくうち溶け合う2者の夢幻のような調和に魅了される。
それはまさに恍惚のひと時。
刺激が強いので、たまーに…という事にしてます(笑)
という訳でここに全力投球してるので、これを食べる為の食物繊維(野菜など)やタンパク質の血糖値スパイク防止バリアーについて、割とどうでも良いんです。ただの前座だから。
それらを咀嚼し胃に地層を堆積させてる間にパンを蒸し、リベイク。
その段階調理法、蒸籠してリベイクしたパンがここまで美味しいのを知らなきゃ思いつかなかったかも。
凄く良いリズム。自分にはとても合ってる。
気持ちのよい日々を過ごしています。
細川亜衣さんの著作との出逢いも、件のパン屋さんとのそれにも、直感めいたものが事前に働いたので、それに抗わなかった。
自分がすごく好きでアンテナ貼ってる分野についての直感って、第六感なのかなって思ったりもします。
そういうの、ある気がする。
トースト、良いです。
蒸してガリっと焼く美味しさを知ってしまったら。
大好きな食パンに出逢ってしまったら。
ああ、朝が来るのが楽しみで仕方がない。
明日はどれくらい焼こうかな。
焼きムラを無くすにはどうすれば良いだろう。
そのうちオーブンで焼いてみようかな。
ああ、明日が待ち遠しい。
口もとに笑みをたたえながら、私は1日を終え床についています。